第197章 お前は本当に親孝行な息子だ

長谷川栞は、自分の目尻に触れている小さな手を見つめたまま、視界が白く霞んでいくのを感じていた。

「栞、もう泣かないで」

長谷川明子が慌ててティッシュを取り出し、娘の涙を拭う。

咲菜の指先にきらりと光る雫を見て、栞はようやく気づいた。

――ああ、私、泣いてたんだ。

「長谷川おばさん、大丈夫?」

咲菜の心配そうな眼差しが、胸にちくりと刺さる。

いい大人が、子どもに慰められているなんて。

栞は母から受け取ったティッシュで目尻を強くこすり、無理やり笑ってみせた。

「大丈夫だよ。心配しないで。何でもないし、元気。すっごく元気」

そう言いながら、逃げるみたいに大股で外へ向かう。

「...

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